生成AIの社内ガイドラインは、1枚で足ります。小さな会社のAI利用ルールの作り方
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小さな会社の生成AIのルールは、長いガイドラインを作らなくても、A4で1枚あれば足ります。決めることは4つだけです。
- どのAIを使っていいか
- AIに入れない情報は何か
- 人が確認してから出すものは何か
- 迷ったときに誰に聞くか
この記事では、この4つをどう決めるかを順に書きます。最後に、そのまま使える1枚のひな形も置いておきます。
大きな会社のガイドラインを真似しても、たぶん読まれません
「生成AI ガイドライン」で調べると、大企業や自治体が公開している立派な文書がたくさん出てきます。10ページ、20ページあるものも珍しくありません。
あれをそのまま真似したくなります。ただ、社員が数人の会社では、たぶん誰も読みません。読まれないルールは、ないのと同じです。
以前の記事で、文章で書いた「やるな」はお願いでしかない、という話を書きました。ルールも同じで、項目が増えるほど、ひとつひとつは埋もれていきます。なので小さな会社では、「本当に守ってほしいこと」だけを短く書くほうが効きます。
1. どのAIを使っていいか
最初に決めるのは、使っていいAIの範囲です。
ポイントは、入力した内容がAIの学習に使われるかどうかです。ChatGPTやClaudeの個人向けプランは、無料版だけでなく有料版でも、初期設定のままだと入力がAIの改善に使われることがあります。一方で、法人向けのプランやAPIは、初期設定で学習に使わないことになっています。
なので、ルールとしてはこう書けば十分です。
- 仕事で使うのは、会社が用意した法人向けのアカウントだけ
- 個人のアカウントには、有料・無料を問わず、仕事の情報を入れない
私自身も、仕事のデータを通すのは、入力を学習に使わない契約になっているAIだけにしています。
2. AIに入れない情報は何か
ここがルールの本体です。「機密情報は入れない」とだけ書くと、何が機密なのかを一人ひとりが判断することになり、線がぶれます。
おすすめは、情報を3つに分けて、例まで書いておくことです。ここで挙げるのは分け方の一例で、どの情報をどの箱に入れるかは、業種や取引先との約束によって変わります。
入れない情報
たとえば、マイナンバー、給与や人事評価、健康に関する情報、取引先から預かった秘密の資料などです。こうした情報は、伏せ字にしても入れないと決めておくと安心です。
伏せれば入れていい情報
たとえば、お客様や社員の名前、連絡先などです。名前をイニシャルや番号に置き換えてから入れる、という扱いが考えられます。その場合、元に戻すための対応表はAIに渡さないようにします。
そのまま入れていい情報
たとえば、社内の議事録やマニュアル、公開済みの情報、個人が特定できない業務の数字などです。ただ、議事録に取引先の秘密が含まれることもあるので、中身によっては上の箱に移します。
3つに分けておくと、社員が迷ったときに「これはどの箱か」で考えられるようになります。判断の軸がひとつに決まるので、人によって線がぶれにくくなると思います。
どの箱か決めきれない情報は、ひとまず「入れない」として扱い、4で決める「聞く人」に確認する形にしておくと迷いにくくなります。
3. 人が確認してから出すものは何か
AIが作ったものを、確認せずにそのまま外に出さない。これもルールに入れておきます。
以前の記事で、「責任が発生する最後の工程は、人に残す」と書きました。お客様へのメールを送る、見積もりを出す、ホームページに載せる。こういう「外に出ていく瞬間」は、必ず人が見てから出す、と決めておきます。
私の場合、送信・公開・上書きのように外に出ていく操作は、必ず自分が確認してから実行する形にしています。公開するものには、実名や実際の数字を入れないことも決めています。
逆に、社内で下書きを作るだけ、調べ物を整理するだけ、といった使い方は自由にしていいと書いておきます。ここまで縛ると、誰も使わなくなります。
4. 迷ったときに誰に聞くか
最後に、迷ったときに聞く人を1人決めます。社長でも、総務の担当者でもかまいません。
ルールを1枚にすると、書いていないケースが必ず出てきます。そのときに「聞けば答えてくれる人がいる」と分かっていれば、1枚でも回ります。むしろ、全部を書こうとして20ページになるより、このほうが現実的だと思います。
聞かれたケースは、月に1回くらいルールに書き足していきます。最初から完成させる必要はなくて、使いながら育てていけば十分です。
ルールの目的は、禁止ではありません
AIのルールというと、「あれもダメ、これもダメ」という禁止事項の一覧を想像するかもしれません。
でも、小さな会社でルールを作る一番の目的は、社員が安心して使えるようにすることだと思っています。線がないと、慎重な人ほど使わなくなり、気にしない人ほど何でも入れるようになります。どちらも会社にとっては困ります。
「ここまでは自由に使っていい」「ここから先は入れない」と線が見えていれば、慎重な人も安心して使い始められます。ルールは、ブレーキというより、踏んでいい範囲を示す地図に近いものです。
ひな形(A4・1枚)
ここまでの4つを、そのまま埋めれば使える1枚にまとめました。会社名と、「迷ったら聞く人」の名前を入れるだけで使えます。
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よくある質問
Q. 社員が個人のスマホでChatGPTを使っているのは、禁止したほうがいいですか?
使うこと自体を禁止するより、「仕事の情報は個人のアカウントに入れない」と決めるほうが現実的です。禁止すると、隠れて使われるようになるだけかもしれません。会社のアカウントを用意して、仕事はそちらで使ってもらうのが一番です。
Q. 無料版は使ってはいけませんか?
公開済みの情報を調べるだけなど、「そのまま入れていい情報」しか扱わないなら、無料版でも問題ないケースはあります。ただ、社員一人ひとりに「この情報は入れていいか」を毎回判断させるのは負担が大きいので、仕事用は法人向けのプランにそろえたほうが、ルールはシンプルになります。
Q. 就業規則に入れる必要はありますか?
最初は、社内の申し合わせとして1枚を配るところから始めて大丈夫だと思います。違反したときの処分まで決めたい場合は、就業規則との関係が出てくるので、社労士などの専門家に相談してください。