作った仕組みが消えていくのは、うまくいっている証拠です
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議事録の記事の最後に、少しだけ書いたことがあります。最初に作った仕組みは、いまはもう一部を使っていない、という話です。
あとから使い始めたツールに、標準で似た機能がついていました。そちらのほうが早かったので、乗り換えました。せっかく作ったのに、と一瞬思ったのを覚えています。
今回は、この「せっかく作ったのに」について、もう少し書いてみます。
消えるのが普通で、残るほうが珍しいです
AIで仕組みを作ると、その仕組みはだいたい消えていきます。
ツールのほうが追いついてくる。もっと簡単な方法が見つかる。仕事のやり方そのものが変わって、その仕組みが要らなくなる。理由はいろいろですが、作ったものがそのままの形で何年も残ることのほうが、珍しいと思っています。
最初は、これが少し悔しかったです。作るのに時間をかけたぶん、長く使いたくなります。使わなくなった仕組みを見ると、無駄だったような気がします。
ただ、しばらくして考えが変わりました。消えたのは、その仕組みがやっていた面倒が、もっと楽な方法で解けるようになったからです。つまり、仕組みが消えるのは、その面倒が解け続けている証拠でした。
残ったのは、仕組みではなく、設計でした
議事録の仕組みが置き換わったとき、実際には何が残ったかというと、設計のほうでした。
「会議のどこが面倒なのか」「どこまで任せて、どこを自分に残すのか」「最後に自分が確認するのは何か」。これは仕組みを作るときに考えたことで、新しいツールに移すときも、そのまま使えました。移した先で決め直したことは、ほとんどありません。
仕組みは道具で、設計は考え方です。道具は新しいものに替わりますが、考え方は替える必要がありません。むしろ、一度考え方が固まっていると、次の道具への乗り換えが速くなります。
だから、最初の1本を作る価値は、できあがった仕組みそのものより、その過程で身につく設計のほうにあると思っています。これは議事録の記事にも書きましたが、書いたときより、いまのほうが強くそう思います。
消える前提で作ると、作り方が変わります
仕組みは消えるものだ、と決めてしまうと、作り方が変わります。
まず、作り込まなくなります。半年後には置き換わるかもしれないものに、細部まで磨きをかける理由がありません。いま困っている面倒が解ける、最小の形で止めます。
次に、乗り換えやすく作るようになります。特定の道具に深く依存させず、「元データはここ」「出力はこの形」という境目をはっきりさせておくと、道具だけを差し替えられます。
そして、消えたときに悔しくなくなります。これが一番大きいかもしれません。消えるのは失敗ではなく、面倒が解け続けている印だと分かっているので、「次はどうするか」にすぐ頭が向きます。
大事なのは「入れっぱなし」にしないことです
AIを仕事に入れるときに、私が気をつけているのは、入れっぱなしにしないことです。
一度作った仕組みを、そのまま何年も動かし続けるのが良いことだとは思っていません。面倒は変わるし、道具も変わります。仕組みも、それに合わせて置き換わっていくのが自然です。
作ったものが消えていくのを見て、「ああ、また楽になったな」と思えるようになると、仕組みづくりはずっと気楽になります。最初の1本が消える日は、たぶん来ます。それは、その1本がちゃんと役目を果たした日でもあります。