属人化とは? 小さな会社で起きる理由と、全部なくさなくていい理由
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属人化とは、ある仕事のやり方や判断が特定の人の頭の中にしかなく、その人がいないと仕事が回らない状態のことです。
ただ、小さな会社では、属人化を全部なくす必要はないと私は思っています。困るのは「その人が1週間休んだら止まってしまう仕事」だけです。まずはそこだけを見つけて、やり方を言葉にしていけば十分です。
この記事では、属人化がなぜ小さな会社で起きやすいのか、どこから手をつければいいのかを書きます。最後に、自社の仕事を洗い出せるチェックシートも置いておきます。
属人化とは、どういう状態か
たとえば、こんな状態です。
- 見積もりは、ベテランの〇〇さんしか出せない
- 取引先ごとの細かい約束ごとを、担当者しか知らない
- 月末の締めの作業は、経理の人が休むと誰もできない
- あのお客さんの対応は、社長にしか分からない
どれも、仕事そのものは毎日ちゃんと回っています。問題が見えるのは、その人が休んだとき、辞めたとき、急に仕事が増えたときです。そのとき初めて「この仕事、あの人しか分からなかったんだ」と気づきます。
小さな会社で、属人化が起きやすい理由
社員が数人の会社では、属人化はほとんど自然に起きます。理由はシンプルです。
ひとつは、人が少ないことです。一人が複数の仕事を兼ねているので、「この仕事はこの人」と決まりやすくなります。同じ仕事を2人以上でやる余裕は、たいていありません。
もうひとつは、教える時間も、書く時間もないことです。目の前の仕事で手一杯なので、手順を人に教えたり、マニュアルに書いたりするのは、いつも後回しになります。
特に大きいのは、後者の「書く時間がない」ほうだと思っています。やり方を言葉にさえできれば、教えることも、引き継ぐこともできます。その最初の一歩が、一番重いところです。
属人化は、悪いことなのか
「属人化はよくない」という記事はたくさんあります。ただ、私は半分だけ賛成です。
分けて考えたいのは、この2つです。
仕事が人についていること
腕のいい人に、その人の得意な仕事を任せる。これは自然なことで、小さな会社の強みでもあります。全員が全部をできる必要はありません。
仕事のやり方が、その人の頭の中にしかないこと
困るのは、こちらです。やり方が言葉になっていないので、その人がいないと誰も代われません。本人も休みにくくなります。
つまり、なくしたいのは「人に任せていること」ではなく、「やり方が見えない状態」のほうです。任せたままでいい。ただ、やり方だけは言葉にして、会社の中に置いておく。そう考えると、やることはずっと小さくなります。
属人化をほどく順番
どこから手をつけるかは、たとえば次の順番が考えやすいと思います。
- その人が1週間休んだら止まる仕事を、書き出す
- その中から、止まったときに一番困るものを1つ選ぶ
- その仕事の手順を言葉にする
- 手順の中の「判断」の部分を、基準として言葉にする
1と2で、対象をぐっと絞ります。全部の仕事を一度にマニュアル化しようとすると、ほぼ確実に途中で止まります。まずは1つだけで十分です。
3は、「何を、どの順番でやっているか」を書くことです。以前の記事で、毎回AIに口で説明していた仕事を手順書にしたら、説明がいらなくなった話を書きました。人に対しても同じで、手順が書いてあれば、代わりの人がその通りに動けます。
4が一番難しいところです。見積もりの金額をどう決めるか、どのお客さんを優先するか。こうした判断は、本人も「なんとなく」でやっていることが多いです。ただ、「こういうときはこうする」という例をいくつか書き出すだけでも、代わりの人が迷う場面はかなり減ります。
AIが下げてくれるのは、「書く手間」です
ここで、AIの出番があります。
さきほど、属人化をほどく一番の壁は「書く時間がない」ことだと書きました。AIは、この手間を大きく下げてくれます。
たとえば、担当の人に、いつもの仕事のやり方を話してもらいます。その話をAIに文章にしてもらえば、手順書の下書きができます。担当者は、ゼロから書くのではなく、下書きを直すだけで済みます。書くのが苦手な人でも、話すことならできる、という場合は多いと思います。
以前の記事で、手順書や引き継ぎ書を書くと、言葉になっていなかった決めごとが見えてくる、という話も書きました。属人化をほどく作業も、まさにこれです。AIに手伝ってもらうことで、その「言葉にする」作業に、ようやく手が届くようになります。
一方で、AIに任せないほうがいい部分もあります。判断の基準を決めること、そして最後に「これで合っている」と確認することは、その仕事を分かっている人の役目です。書く手間はAIに、中身の正しさは人に。この分担が、いちばん現実的だと思っています。
まずは、1つだけ書き出してみてください
属人化は、小さな会社ではなくならないものです。なくす必要もありません。
ただ、「あの人が休んだら止まる仕事」を、1つだけでも言葉にしておく。それだけで、会社は少し休みやすく、少し引き継ぎやすくなります。
属人化チェックシート
自社のどの仕事が属人化しているかを洗い出せる、チェックシートを用意しました。仕事の名前を書き出して、いくつかの質問に答えるだけで、どこから手をつけるかが見えるようになっています。
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よくある質問
Q. 属人化と専門性は、何が違うのですか?
専門性は、その人にしかできない高い技術や知識のことです。属人化は、その人にしか「やり方が分からない」状態のことです。専門性のある仕事でも、手順や判断の基準が言葉になっていれば、属人化はしていないと言えます。
Q. マニュアルを作ったのに、誰も見てくれません。
よくあることだと思います。長すぎる、探しにくい、内容が古い、のどれかが原因のことが多いです。まずは1つの仕事につき1枚まで短くして、仕事の流れの中で開く場所に置いておくと、見てもらいやすくなります。
Q. ベテランの人が、やり方を教えたがりません。
「自分の仕事がなくなる」と感じている場合があるかもしれません。やり方を書き出すのは、その人の仕事を奪うためではなく、その人が休めるようにするためだ、と最初に伝えておくと話しやすくなります。書く作業そのものは、話してもらってAIに文章にしてもらうなど、本人の手間を減らす形にすると協力してもらいやすくなります。
