AIで業務効率化した事例は、3つの点で読むと自社に活かせる。私の実例つき

AIで業務効率化した事例を読むときは、「何をAIに任せたか」「何を人に残したか」「浮いた時間で何が変わったか」の3つの点に注目すると、自社に活かしやすくなります。

「〇時間が〇分になった」という数字は目を引きますが、業種や規模が違えば、そのままは当てはまりません。一方で、この3つの点は、業種が違っても持ち込めます。

この記事では、3つの点の読み方と、私自身の実例をその3つの点で並べたものを紹介します。

数字だけ見ても、自社には活かしにくい

AIの活用事例には、たいてい時間やコストの数字が書かれています。ただ、その数字は、その会社の業務の量や、もともとのやり方に左右されます。

同じ「議事録をAIで作る」でも、会議が週に1回の会社と毎日ある会社では、浮く時間はまったく違います。数字を見て「うちでもこれだけ減る」と考えると、期待と結果がずれやすくなります。

そこで、数字より先に見てほしいのが、次の3つの点です。

事例を読むときの、3つの点

1. 何をAIに任せたか

仕事のどの部分をAIに渡したのか、です。「議事録をAIで作った」と書いてあっても、実際に任せたのは文字起こしだけなのか、決まったことの整理までなのかで、中身は大きく違います。

2. 何を人に残したか

逆に、どこを人がやっているのか、です。うまくいっている事例ほど、ここがはっきりしています。全部をAIに任せている事例は、あまりありません。

3. 浮いた時間で、何が変わったか

時間が減った結果、仕事のやり方や中身がどう変わったのか、です。単に早くなっただけなのか、本来やるべき仕事に時間を使えるようになったのか。ここまで書いてある事例は、自社で試すときの目標を立てるのにも役立ちます。

私の実例を、3つの点で並べると

私がAIと一緒に作った仕組みのうち、3つを並べます。それぞれ、詳しくは個別の記事に書いています。

仕事 任せたこと 人に残したこと 変わったこと
議事録 文字起こし、議事録の下書き、決まったこととやることの一覧 何が決まり、誰が宿題を持ったかの最終確認 週3〜4時間が30分〜1時間に。会議の翌日を待たずに動けるようになった
データ登録 元データを、管理画面に取り込める形に写すこと 取り込んだあとの最終確認と、公開の判断 1件15分が、何件あっても全体で5分に。写す係と確認する係が分かれた
月次の報告書 散らばった数字を集め、表に写し、体裁を整えること 数字の最終チェックと、考察の仕上げ 半日が数分で下書きに。仕事の中心が、数字を運ぶことから考えることに変わった

3つに共通していること

並べてみると、共通点が2つあります。

ひとつは、任せたのが「写す」「集める」「整える」といった、量が多くて手順が決まっている部分だということです。以前の記事で、会社の面倒は「散らばり」「繰り返し」「判断」の3つに分けられると書きました(面倒の分け方)。任せたのは、このうちの散らばりと繰り返しでした。

もうひとつは、人に残したのが、どれも「間違えたら自分が謝ることになる、最後の工程」だということです。この線引きの考え方は「AIに任せる仕事、任せない仕事の線引き」で書きました。

そして、変わったことは、どれも時間の長さだけではありませんでした。会議のあとすぐ動けるようになった、確認に集中できるようになった、考えることに時間を使えるようになった。実感として大きかったのは、こちらのほうです。

事例を、自社に当てはめる手順

事例を読んだあとは、次の順番で自社に当てはめてみるのがおすすめです。

  1. 業種ではなく、仕事の「形」が似ているものを探す。「元データがあって、写して、見比べる」「あちこちから数字を集めて、毎月同じ形にまとめる」といった形です
  2. その仕事で、人に残す最後の工程を決める
  3. まずは1つだけ、仕組みにしてみる

1が一番大事です。私のデータ登録は商品の情報でしたが、顧客の台帳への入力や、届いた注文の打ち直しも、形は同じです。業種が違う事例でも、形が同じなら参考になります。

毎回同じ説明をしている仕事があれば、それも候補です。「手順書に名前をつけて一言で呼べるようにする」という形で、多くの繰り返しの仕事がまとめられます。

よくある質問

Q. 業種が違う会社の事例は、参考になりますか?

仕事の形が同じなら、参考になります。業種よりも、「何を任せて、何を残したか」を見てください。私の事例も商品の情報を扱う仕事から生まれたものですが、写す・集める・整えるという形は、多くの会社にあると思います。

Q. 効果は、どのくらいで出ますか?

私の場合、議事録の仕組みは、1週間では何も変わった気がしませんでした。しばらく経ってから「そういえば、あれをやらなくなったな」と気づく種類の変化でした。すぐに劇的な変化が出るものより、毎週・毎月ずっと効き続けるものを選ぶのがおすすめです。

Q. 事例と同じツールを入れれば、同じ効果が出ますか?

同じツールを入れても、同じ効果が出るとは限りません。効果を分けるのは、ツールよりも、どの仕事のどの部分を任せて、どこを人に残すかの設計のほうだと思っています。

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Shintaro Yataki
この記事を書いた人
Shintaro Yataki

大学病院の看護師、プログラミングスクール講師を経て、ShopifyのECサイト構築・広告運用の伴走に携わる。議事録・レポート・データ登録などの業務をAIで作り変えてきた経験をもとに、2026年から中小企業・個人事業主向けの「AI伴走」を始めた。

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